アール・ヌーヴォーの芸術運動は、短い間でしたが、19世紀の終わりにフランスから始まり、ヨーロッパそしてアメリカにまで広がった芸術運動です。
元々はイギリスのアーツ＆クラフツ運動から啓発されたもので、作家の自由な芸術表現を手作業で行うことがその根底の精神にあります。
フランスのジュエリー美術作家たちによって、技術的にも芸術的にもレベルの高いジュエリーに昇格されたことにより、多くの人々が魅了され世界に広がっていったのです。
回りまわって、イギリスでもアール・ヌーヴォー様式のジュエリーが製作されていますが、どこかイギリス的な素朴さが残っているように感じます。
（余談ですが、アールー・ヌーヴォーは191０年には終焉を迎えていますが、アーツ＆クラフツはその後も進化を遂げアール・デコの要素を取り入れ、イギリスおよびヨーロッパ各地で独自の世界を築いています。現在でも高い評価を受け、有名作家の製作した作品は驚くほど高額な値段で取引されています）

このブローチは、中心にバロックパールを置いたスミレの花の周りを、4本の花が取り巻いたデザインです。左右非対称で、自然の花のように表現された花はびら一枚一枚が素晴らしい。
小さな花をこれほどまでに自然に立体表現したものは、現代ジュエリーでは見たことがありません。それほど技術的に難しく手のかかる作業が必要ということです。

9金ゴールドを打ち出し軽やかなに仕上げたこの花のブローチは、どこか素朴で可愛らしく、女性的な雰囲気を感じさせる素敵なブローチです。

製作年代：1900年頃
製作国：イギリス（推定）
素材：9金ゴールド、パール
サイズ：3.0cm

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