この花をデザインしたペンダントは、20世紀初頭のアーツ・アンド・クラフツを思わせる作品です。
シンプルなゴールドの曲線で表現したデザインは、モダンなデザインを標榜した当時のアーティストの意匠を感じさせます。そして、何といってもこのペンダントは、中心と一番下に置かれたサファイヤの存在感が抜群です。
この紫を強く帯びたサファイアは、20世紀初頭に流通したモンタナ産のサファイアで、良質の宝石は極僅かだけ産出された貴重なもの。紫を帯びて煌めく特別な色合いのこのサファイアは、強く心を惹きつけます。
そして、その周りに散りばめられたダイヤモンドは、プラチナでコレットセットされ、この作品に高級感を与えています。
バチカンのトップから、ドロップのサファイアの下までの長さが6.3ｃｍと大振りですが、ペンダント自体はとても軽やかで柔らか。現代のお洋服にも、とてもマッチする洗練さを感じさせます。
ジュエリーには見たとたんに高揚感を呼ぶものと、見れば見るほど素晴らしさを感じさせるものとがあります。
このペンダントは、派手なデザインや凝った細工、沢山のゴージャスな宝石が装飾されたジュエリーではありません。しかし、現代の感覚では中々思いもよらぬデザインを、シンプルなラインで大胆に表現し、絶妙に配された良質な宝石とミニマムな装飾をした端正な姿は、野に咲いている花の様なすっと佇む素朴さが大きな魅力なのです。
静寂さの中にキラリと輝く優しい花のペンダントです。

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◯製作年代：1910-1920年頃
◯製作国：イギリス
◯素材：サファイア、ダイヤモンド、ゴールド、プラチナ
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